数理情報科学セミナー 2013


3 月 25 日 菊田 俊幸 (立命館大学)
Klingen-Eisenstein級数に対するRamanujan型の合同について

Ramanujanの合同式としてよく知られているように、重さ12のEisenstein級数と、 Ramanujanのデルタ関数の各Fourier係数が素数691を法として合同になる。 これはEisenstein級数とカスプ形式の間の合同関係の一例である。 本講演では、Siegelモジュラー形式の場合において、Klingen-Eisenstein級数とカスプ形式の間にも、 同様にFourier係数の合同が存在することを紹介する。 尚、以上の研究成果は京都大学の竹森翔氏との共同研究によって得られたものである。


10 月 23 日 内海 和樹 (広島大学)
K3曲面上の楕円ファイブレーションの分類問題について

至る所で消えない正則2形式が存在し第一ベッチ数が0となる複 素曲面をK3曲面という。与えられたK3曲面上にどのような楕円ファイブレーショ ンが入り得るかという分類問題に関していくつかの特殊なK3曲面に対して知られ ている結果を紹介し、特に6直線で分岐する射影平面の2重被覆曲面の最小特異点 解消として得られるK3曲面に対する分類結果とそれらのワイエルシュトラス方程 式やそれを用いたモーデル・ヴェイユ格子の生成元を記述する方法について述べる。


5 月 15 日 伊藤 賢太郎 (広島大学)
真正粘菌変形体の厚み振動の力学的数理モデルとパターン間遷移

真正粘菌変形体は,単純な構造をもちながら原形質の保存則を活用することにより多様な振る舞いを示すことが知られている. シート状に拡がった粘菌はアクチンミオシンの周期的な収縮弛緩によりその厚みを周期的に振動させており, それに駆動されて原形質の往復流動が至るところで起こっている. 本講演では粘菌の生み出す様々な振動パターンと振動パターン間遷移に注目し, それらを再現する数理モデルを提案するとともに,その数理モデルを数値的に解析した結果について考察する.


4 月 17 日 川原田 茜 (広島大学)
UlamのセルオートマトンとRule150について

Ulamのセルオートマトンは結晶の成長モデルとしてUlamによって提案された二次元セルオートマトンである。 本講演では、Ulamのセルオートマトンが一次元セルオートマトンのRule150を部分力学系として持つことを示し、 さらに逆超離散化によってUlamのセルオートマトンに対応する偏微分方程式を構成した結果についても紹介する。


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